一昨年、アイルランドで開かれた主要国首脳会議(ロックアーン・サミット)の宣言は、アルカーイダ関連及び他の世界的規模のイスラム過激派グループが過去3年間で集めた身代金を数千万ドルと見積もり、今日あることを予想してか、「国連決議に基づき、テロリストに対する身代金の支払いを全面的に拒否する」と明確に謳(うた)った。
もし、サミット参加国が身代金を払っているならば、宣言への重大な違反だ。
どのような形で支払われるのか。ことがことだけに、つまびらかではないが、人質解放のために契約したコンサルタントへの手数料が流用されたり、別の名目でさまざまな団体を経由しているなどといわれる。
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日本では、過去はともかく、現在はテロリストに身代金を支払うことは許されないという自戒が強い。
そういう意識を植え付けたのは、1977年秋のダッカ事件だ。日本赤軍グループに乗っ取られた日航機がバングラデシュのダッカに着陸、600万ドル(当時のレートで約16億円)の身代金と、日本で勾留中の仲間の釈放を要求、拒否するなら乗客を殺害すると脅迫した。
日本政府は厳しい判断を迫られ、「人の命は地球より重い」という当時の福田赳夫首相の決断でこれを受け入れた。