慶事や仏事、クリスマスの時ぐらいしか宗教を意識しない私のような日本人にとって、イスラム教を理解することは難しい。そう思うのは、私だけではなさそうだ。東京・渋谷区にあるイスラム教の礼拝所、東京ジャーミィ・トルコ文化センターを訪れる人が最近急増しているという。
先日は平日で午前10時の開館直後だったにもかかわらず、すでに10人ほどの日本人グループが見学していた。同センターの職員に聞くと、見学者は土日を中心に平日も増え、以前の2倍ぐらいだという。
金曜など礼拝の時間を除けば午後6時までの開館中、誰でも入館は可能。見事な装飾が施された2階の礼拝堂も一定の規則さえ守れば見ることができる。1階の玄関ホールにはイスラム教を知るための書籍やパンフレットが山積みされ、職員に尋ねれば説明も聞ける。
もっとも、こうしてイスラム教を学ぶことはいいが、本を読んだり説明を聞いたりするだけで理解するのは容易ではない。しかし、中にはそれで理解したと思い、こうだろうと決めつける人がいる。ときにイスラム教徒(ムスリム)に自分の理解を押しつけていることさえある。
その最たるものが、ハラル認証をめぐる問題だ。インドネシアやマレーシアのようなイスラム圏とのビジネスを展開するため、ムスリムが安心して口にしたり、肌に付けたりできる食品や化粧品などをハラル製品と認定し、証明印を発行する。実際は原料や輸送、製造工程や、管理にいたるまでイスラム法の専門家が厳しく調査したうえで発行する。毎年検査し、問題があれば取り消される。
しかし、日本ではムスリムなら誰でも認証を出せると思っている人が多い。全国で90近くあるとされるハラル認証発行団体の中には、日本の法律の専門家が出てきて「ハラル認証も法律と同じできちんと定められた手順を踏みさえすれば、日本人が出しても問題はない」と豪語する団体さえある。