一方、最近では日本を観光などで訪れるムスリムも多いが、中途半端な理解を押しつけることとなって迷惑がられることさえある。ムスリムは1日に5回、メッカの方向を向いて礼拝をしなければならないと聞いていたある旅行業者は、決められた時間が来たために途中でバスを止め、道路脇で礼拝をさせたとか。自分の体調や都合に合わせて時間を変えることもできるにもかかわらずだ。
それもこれもムスリムでない人が本などで学んだ知識を基に勝手に判断することが原因だ。
トルコの友人に、トルコ人はムスリムなのになぜ酒を飲むのかと聞いたことがある。彼から「それは君に説明することではない」と言われたものだ。あくまで自分で決めることで他人から言われることではないのだ。
別のムスリムの友人は、東京でハラル認証を掲げるレストランだと言っても信用できないと言って行かないが、自分で見つけてきたすし屋なら、隣で他の客が酒を飲んでいても平気だ。
彼は「情報があれば、自分で判断する。厳格なムスリムだと自分でいう人は非イスラム国の日本には来ない。日本人は考えすぎなんだ」と笑う。
日本のおもてなしは、相手の気持ちを察することと言うが、時には遠慮なく尋ねることも必要というわけだ。
もっとも、そう言われてもなあ、頭では分かるんだが…。(編集委員 宮野弘之)