日本にとって最適な電源構成を考える (4/4ページ)

2015.4.2 05:00

市川眞一氏

市川眞一氏【拡大】

  • 松本真由美氏

 ■再生可能エネ 国際競争力高める好機

 ◆バラ色と言えぬ現実

 --再生可能エネルギーへの期待感は大きいですが、課題も山積しています。

 市川 まず海外の実績を冷静に分析する必要があります。ドイツの2013年の再エネ比率は23.9%とバラ色のように語られていますが、付加的な電気料金が大きく上がって、これではやっていけないという声が産業界から非常に多く出ています。欧州で主力の風力発電はバルト海と北海のところに適地があって条件的に恵まれています。しかし、発電量が多くなりすぎると売電しているポーランドやチェコでは自国の火力発電の出力を落とさなければならないなどの問題も起きています。バイオマス発電は、日本よりも農地が多く、バイオマス発電燃料が豊富という利点があります。つまり、他国の数字だけを参考にして目標を決めるのは危険ですし、何といってもコストが上昇することが大きな課題として立ちはだかることになるでしょう。

 --日本の再エネ比率は水力を含めると13年度で約10%ですが、どの水準が適切なのでしょう。

 松本 再生可能エネルギーはインフラ整備や制度面も含めて解決すべき課題は多いです。しかし、新興国を含め世界的に再生可能エネルギーへの投資は増加し、導入が進む潮流にあることは間違いありません。日本はこの分野で高い技術力を有していますので、国際競争力を高めるチャンスでもあります。変動電源である太陽光や風力の系統連系問題、送電網増強などのコスト負担といった厳しい課題を直視しつつも、ある程度の高い導入目標を掲げてもいいのではないかと思っています。30年時点の再エネ比率30%と目標を掲げると現実的ではないと批判されそうですが、20%ではちょっと物足りなく思います。

 ◆買い取り価格多様に

 市川 日本の場合、東日本大震災による原発事故をきっかけに再生可能エネルギーをとにかく普及させようということになり、合理的ではない水準に価格が決められた経緯があります。当初の制度設計を間違えたことで、投機的なマネーが入ってきたりと、そのゆがみが出てきています。したがって、ここでもう一度、価格体系など抜本的な見直しの時期にきているのではないでしょうか。

 松本 地域によって初期コストは異なり、太陽光を例にあげると、地上か屋根か、中小発電所か大規模発電所か規模についてもコストは違ってきますので、買い取り価格の多様化を今後検討してもいいのではと思います。再生可能エネルギーにも太陽光、風力、地熱、バイオマス、中小水力とそれぞれ特性があり設備利用率も異なりますが、今後、地熱発電の導入をどれだけ進められるかに注目しています。地熱資源量世界第3位の日本には2300万キロワット超の発電ポテンシャルがあり、ベースロード電源にもなり得ます。初期コストは高く、開発のリードタイムが長いという課題はありますが、40年、50年先という長い目でみるとランニングコストは安くつきます。バイオマス発電も安定的に発電できますが、木質資源保護とのバランスを取りながら導入を図る必要があります。

 --再生可能エネルギーの導入を促進しようとすると、逆にベースロード電源である原発を活用していかなくてはならない側面もあります。いずれにしても将来を見据え冷静で的確な結論を導き出してほしいものです。本日はどうもありがとうございました。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。