政府が検討している平成42(2030)年の電源構成比率の大枠が4日、分かった。東日本大震災後に全基停止した原子力発電を20%程度まで回復させるとともに、再生可能エネルギーの割合は原発を上回る20%台半ばに引き上げ、火力発電は50%台半ばにすることが柱。統一地方選後に経済産業省の有識者会議で詰めの議論を行い、早ければ月内にも具体案をまとめる。
電源構成比率では、安価で昼夜を問わず一定の発電ができる「ベースロード電源」の割合を震災前と同水準の60%程度まで戻す。原発停止に伴い現在は約40%まで落ち込んでおり、電気料金の上昇を招いていた。
ベースロード電源は原子力、石炭火力、水力・地熱に分けられる。このうち、石炭は二酸化炭素(CO2)排出量が多く、地球温暖化防止の観点から新増設には慎重な意見が強い。水力も「新たに大きなダムを造れる時代ではない」(電力大手幹部)ため、大幅な上積みは見込めない。
このため、石炭が30%程度、水力・地熱が10%程度と足元の構成比率から大きく変動しない範囲に留まる見通しで、残り20%程度が原発の割合になる計算だ。
一方、再生可能エネルギーは昨年4月に閣議決定したエネルギー基本計画で積極的な推進を明記している。水力・地熱に加え、太陽光や風力などを10%台半ばまで上積みすることで、基本的に原発を上回る水準にする方向だ。