アシアナ航空の旅客機がぶつかったのか、壊れた痕跡のある広島空港の施設=15日午前8時59分、広島県三原市(安元雄太撮影)【拡大】
広島空港でソウル発のアシアナ航空162便エアバスA320型機が着陸に失敗した事故で、当時、一時的な濃霧が発生していた可能性があることが15日、分かった。事故機は計器で正確に滑走路に誘導できない東側から進入しており、国土交通省などは、操縦士が視界不良で滑走路の場所を手前に誤認していた恐れもあるとみて詳しい状況を調べている。
国交省は15日、アシアナ航空に対し、調査への協力と原因究明、再発防止策の報告を指示したことを明らかにした。
国交省などによると、事故当時の天候は雨だったが風は強い状態ではなく着陸に支障はなかった。ただ、一時的に発生した濃霧などで視界が急激に低下していたという。
広島空港は、霧の影響を受けやすい標高約330メートルの山間部に位置。このため霧の中でも電波で航空機を正確に滑走路に誘導する計器着陸装置(ILS)と呼ばれる無線アンテナが、空港東側に整備されていた。
電波は、西側から進入してくる航空機だけしか受信できなかったという。風向きなどによっては、東側からの進入になるが、この場合は機長がGPS(衛星利用測位システム)などを利用して着陸を行う。事故機も東側からの進入だった。
事故機は、手動操縦で着陸体勢に入っていたとみられ、国交省などは、計器誘導が受けられない中、一時的な濃霧で、操縦士が滑走路を手前に誤認した可能性があるとみている。