青森県六ケ所村の日本原燃のウラン濃縮工場(同社提供)【拡大】
日本原燃は年1050トンSWUのウラン濃縮工場を保有していたが、老朽化に伴い、1990年代半ばから新型遠心分離機の開発を進めてきた。当初、それを担ったのは東芝、日立製作所、三菱重工業の3社。しかし、3社の新型遠心分離機はトラブルが頻発、国の補助金も途絶え、一時は「濃縮ウランは海外から調達すればよく、高コストの新型機開発に意味があるのか」と、国産化を否定する声も上がった。
窮した日本原燃は、優れた要素技術をもつ全国の中小企業を糾合し、2000年から独自開発に乗り出す。その成果が1050トンSWUのうち、75トンSWU分の更新を担って10年1月に事業許可を取得した現在の新型遠心分離機である。さらに375トンSWU分の本格更新へ事業許可を得ようとしていた矢先、東日本大震災が発生したのだ。
◆進まぬ規制委の安全審査
日本原燃は規制委による新たな安全基準の策定を待ち、13年5月、ようやく安全審査を申請した。新基準は万一、ウラン濃縮工場に事故が発生しても、一般公衆の被曝(ひばく)量が年5ミリシーベルト以下にとどまる設計を義務付けている。もっとも、原発と違い、未臨界のウランを扱う同工場が5ミリシーベルトを超える被曝事故を起こすことはまずない。しかし、原子力関係者は続ける。
「問題は化学毒の影響だが、その安全審査は着手されていない。というより、規制委に安全基準自体がない」