東京電力の株主総会の会場に入る株主=25日午前、東京都千代田区【拡大】
沖縄電力を除く電力大手9社の株主総会が25日、一斉に開かれ、全社に出されていた「脱原発」に絡む議案は、全て否決された。各社は株主に対し、安価な電気を安定供給するには原子力発電が必要であるとの立場を改めて強調。東日本大震災後、全基停止している原発の再稼働を急ぐ必要性を訴えた。
柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を目指す東京電力は、午前10時から3時間43分にわたり、都内で総会を開いた。株主からは、原発の停止・廃炉や、日本原燃と結んだ使用済み核燃料の再処理契約の破棄などを求める15議案が出され、全て否決された。
議案説明や質問に立った株主は、福島第1原発事故を踏まえて、東電の原発に対する積極姿勢を批判。広瀬直己社長は「安全対策を確実にし原発を続けたい」と述べ、理解を求めた。
一方、総会で、東電の平成28年4月の持ち株会社制への移行が正式決定した。
電力の小売り、燃料・火力発電、送電の3つの社内カンパニーを分社化して持ち株会社の傘下に置く。広瀬社長は「効率的な企業運営と競争力の強化を進める」とし、電力小売りの全面自由化などで厳しくなる市場環境を勝ち抜いていく考えを示した。
東電以外では、原発停止による火力燃料の増加で27年3月期に巨額の連結最終赤字となった関西電力で、筆頭株主の大阪市と京都市が原発撤退を提案。川内原発1号機(鹿児島県)の今夏の再稼働が見込まれる九州電力では、原発依存の経営が収益を悪化させたとして、瓜生道明社長の解任案が出た。
株主提案は9社合計で79議案に上り、関電の22議案が最も多かった。開催時間も、関電が4時間24分と最長だった。