【専欄】ラサは五星紅旗がいっぱい 元滋賀県立大学教授・荒井利明 (1/2ページ)

2015.6.30 05:00

 6月後半、チベットのラサを三十数年ぶりに再訪した。最初の訪問は1980年代の初め、文化大革命が終わって、胡耀邦(当時、中国共産党総書記)らのもとで、民族・宗教政策の手直しが行われたときだった。

 ラサの印象を一言でいえば、「五星紅旗」と「習近平」がいっぱい、ということになる。「習近平」がいっぱいだったことは次回のコラムで書くとして、今回は中国の国旗が目立ったことについて記す。

 前回のラサ訪問は成都(四川省)から空路だったが、今回は2006年に開通したチベット鉄道で青海省からラサに入った。一度はこれに乗りたかったのである。

 車窓に広がる魅力的な光景についてはよく知られているが、朝、目を覚まし、蒼(あお)く澄んだツォナ湖を目にしたとき、これを見ただけでも来たかいがあった、と思ったほどだった。

 さて、国旗である。ラサで観光客の多くがまず訪れるのは、ラサの象徴ともいうべきポタラ宮である。ラサ入りした当日は高地に慣れるため、ホテルで体を休め、翌朝、ポタラ宮を参観した。ポタラ宮を仰ぎ見て、大きな国旗が屋上の真ん中に翻っているのに気づいた。それ以降、国旗が気になった。

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