準天頂衛星システムを利用した新規市場創出に向け、政府が平成28年度から民間企業などの支援に乗り出すことが23日、分かった。経済産業、総務、農林水産、国土交通などの関係各府省が、調査や研究開発などの費用を28年度予算概算要求に盛り込む方針だ。精度が高い位置情報を使った自動運転車の開発や、農村での無人農機の導入などさまざまな産業に応用でき、2兆円超の市場が見込めるとしている。
2020年東京五輪・パラリンピックで先進事例を紹介し、関連産業の海外展開につなげたい考えだ。
準天頂衛星は衛星利用測位システム(GPS)の誤差を数センチまで抑えられ、誤差が1メートル~数十メートルに上る欧米などの測位衛星に比べて格段に精度が高い。
日米欧の自動車大手が開発にしのぎを削る自動運転車では、精密な位置情報を使うことで車線変更などの制御がより正確に行える。また、位置情報をもとに課金すれば自動料金収受システム(ETC)のゲートが不要になるなど、自動車分野で7800億円の新規市場が生まれると試算する。