「かっこいい」という言葉の定義に変化が出ている。
近年、国内には肉食系より草食系男子が大量発生し、多くの草食種が挑戦・冒険といった若者の特権を放棄し、安定だけを求めてサラリーマンや公務員を目指す傾向にある。一方、建築現場や町工場の製造現場で働く技術者や土木技師などのゲンバ職はきつい、汚い、危険な3K職業と呼ばれて避けられる。
誰もが安易で楽な「寄らば大樹」の大企業に殺到するというのが近年の若年層労働市場の縮図である。「一生サラリーマンで何が悪い」と言われれば何も悪くありませんと言うしかないが、本当にこれでいいのかと思う。役所や会社勤めは3Kよりつらい「ストレス」という魔物と戦わなくてはならないのだ。実際仕事のストレスが理由で鬱病にかかる率は圧倒的にブルーカラーよりもホワイトカラーに多いという現実も知っておく必要がある。
中小の製造業では若手の人材不足が深刻な経営課題となっている。「製造現場で働くことは日本の産業の根幹を縁の下で支えるやりがいのある仕事だ」と行政が叫んでも安易な方向へ流れる若者の群れを止めることはできない。
関西の中小企業を支援する、大阪産業創造館が発行するビジネス・マガジン「Bplatz」の編集長、山野千枝さんは町工場の経営者の深刻な悩みを知る人の一人だ。取材中に「俺らが日本の産業を支えているんだ」と控えめに語る若者に何人も会った。山野さんはそんな青年たちをかっこいいと思った。彼らの声が伝わることは少ないが、彼らの支えがなければ日本の産業が成り立たないことは明白である。だったら日本の産業を支える彼らのかっこよさを役所の上から目線ではなく女性目線で訴えたらどうかと考えた。