◆備蓄の量や対策など
また、被災状況のシミュレーションや備蓄する物資の分量が極めて明確に記されている点も特徴的だ。例えば被災状況に関しては家の中であれば2階、トイレ、浴室など被災場所によりそれぞれ対策が記されている。他には車に乗車中の場合や駅構内、エレベーター内や山間地での避難行動も書かれている。
備蓄に関しては、家族4人をモデルケースに必要な食料品の分量を記載。常に維持しておく物資と、災害への備えとしてそろえる物資の分量の項目が分けられて、わかりやすく表示されている。
例えば夫婦と乳幼児1人、高齢女性1人の事例では、日常で常に維持する分量は飲料用、調理用の水2リットル、カセットコンロ1台、カセットボンベ6本、無洗米5キロなどが挙げられている。また、乳幼児にはスティックタイプの粉ミルク約20本、おむつ約70枚。高齢者には高齢者用食品1週間分以上、常備薬(処方薬)1カ月分としている。
一方、災害への備えとして用意しておくものは簡易トイレ約30回分、手回し充電式のラジオ、携帯電話の予備バッテリー3個など。各家庭ではこのリストを土台に備蓄しておく物資の話し合いができる。
民間の立場から防災対策を研究している防災システム研究所の山村武彦所長は「『東京防災』は被災状況の想定が具体的に記されている。東京に起こりうる災害の種類を広範に設定し、状況ごとに対策を記してある点は画期的」と評価する。