国が前面に出て、住民との対話の場を設けたり、立地に進んだ場合の地域の持続的な発展の青写真を示したりしていくことで、最終処分事業への理解が深まる流れが生起されることになれば、申し入れ方式の導入は大吉だ。
これに対して、国からの申し入れが自治体や住民への押しつけと受け止められるとせっかくの取り組みも台無しで、かつての成田闘争の二の舞いになってしまう。
科学的有望地の提示を前に経済産業省は今年5~6月、全国の自治体向けに地層処分の説明会を開催した。しかし、約3割の自治体が欠席した。その主な理由は「出席すると立地に前向きと思われかねない」というものだ。こうした自治体側の反応は、国からの申し入れが「凶」の結果を招き得ることを暗に物語っているかのようだ。
■
HLWの最終処分に関して、一種の国民的コンセンサスは存在する。
《原子力発電を利用してHLWを発生させたのは現世代。将来世代に負担を先送りしないよう、地層処分に向けた対策を確実に進めることが現世代の責任だ》
この考えを真っ向から否定する声は、あまり聞かれない。だが、自分の住んでいる地域や近隣への最終処分の建設を認めるかとなると一気に反対意見が沸騰する。
最終処分場建設は究極のNIMBY(ニンビー)(必要だけれど、私の裏庭にはお断り)問題の典型だ。