【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(29) (2/3ページ)

2015.9.18 05:00

エーヤーワディ管区のピャーボンから援助物資を運んできた僧侶。彼らの援助活動が目立つのも今回の洪水支援の特徴だ(筆者撮影)

エーヤーワディ管区のピャーボンから援助物資を運んできた僧侶。彼らの援助活動が目立つのも今回の洪水支援の特徴だ(筆者撮影)【拡大】

 ◆稲が枯れた水田

 オッカンから幹線道路を外れて、未舗装の泥道を西に向かうとすぐに、田植え後1カ月ほど経った稲で緑一色に染まった水田地帯が目の前に広がる。このあたりも水に浸かったそうであるが、4、5日で水が引いたので、稲は何事もなかったように育っている。フライン川に向かってさらに西に進むと、あの青々とした水平線が一変したように、茶色に枯れた稲の稈が所々に浮かぶ、泥水に浸かった水田が目に飛び込んでくる。洪水のために稲が枯死してしまったのである。種類にもよるが8日から10日ほど冠水し続けると稲は枯れて死んでしまう。これをあの緑の水田に戻すには、もう一度種籾(もみ)を直播するか田植えをするしかない。農業灌漑(かんがい)省や農民組合が種籾の配布を行っているが、8月中に再植しないと収穫が期待できないという。スピードとアウトリーチが要求される作業である。

 緑色と茶色の境界線あたりに大きなパゴダ(仏塔)があった。ここが周辺村落の罹災民たちの避難所になっていた。デルタ地帯のパゴダはちょっとした高みに建てられおり、相対的ではあるが、洪水の害を免れることができ、このパゴダのように避難所になることがよくある。私が訪ねた時には、450人ほどの避難民がいたが、多い時には1000人を超えていたという。このパゴダには、赤十字の看護師たちや国軍の兵士たちも出張ってきており、食糧配給や傷病治療の前線基地ともなっていた。

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