高速増殖炉もんじゅ=1月、福井県敦賀市【拡大】
高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)を運営する日本原子力研究開発機構が、もんじゅを廃炉にするには30年間で約3000億円の費用が必要との試算を2012年にまとめていたことが16日、分かった。馳浩文部科学相が閣議後の記者会見で明らかにした。原子力機構はこれまで廃炉費用を公表していなかった。
1兆円を超える費用を投入しながらトラブル続きで運転実績がほとんどないもんじゅの維持には今後も年間200億円程度が掛かるとされ、廃炉を選択する場合でも巨額の費用が発生することになる。
文科省によると、内訳は解体に約1300億円、原子炉からの燃料取り出しに約200億円が掛かるほか、廃炉の作業期間となる30年間の維持管理費を約1500億円と見込んでいる。
経済産業省の資料では、通常の原発の廃炉費用は360億~850億円程度。関西電力は美浜原発1、2号機(福井県美浜町)の廃炉に計約680億円を見込む。もんじゅは冷却材にナトリウムを使うほか、施設が大型なことなどから、通常の原発より割高となる。
馳文科相は「過去の試算であり、さまざまな前提条件を含んだ不確かな数字」と説明したが新たな試算を求める考えはないとした。
もんじゅをめぐっては、原子力規制委員会が昨年11月、原子力機構について「運転を安全に行う資質を有していない」として運営主体の変更を馳文科相に勧告。文科省の検討会で議論が続いている。