【専欄】軍事改革、戦区主戦の組織化 拓殖大学名誉教授・茅原郁生 (2/2ページ)

2016.3.8 05:00

 どのような戦区が新編されたのか、その特性を見てみよう。筆頭の東部戦区は、前の南京軍区を中心とした台湾“解放”や東シナ海、太平洋を担う戦区で、最重要な面を担当する。南部戦区は、今日焦点となっている南シナ海やベトナムなど東南アジア担当の前広州軍区を中心とする地域を担当する。西部戦区は、かつての成都軍区や蘭州軍区の広い範囲を担う戦区で、インドへの対応やシルクロード戦略に関わる広大なユーラシア大陸を睨(にら)む戦区となろう。北部戦区は北朝鮮やロシア、モンゴルの担当で、冷戦時は対ソ防衛の重点であった北京軍区と瀋陽軍区の担当だった地域を担うことになろう。中央戦区は、北京軍区が担った首都防衛に加えて済南軍区が担った中央戦略予備の役割を担うと考えられる。

 このように統合軍としての戦区の組織化は進んだことになる。その作戦指揮は中央軍事委下の統合参謀部から戦区連合作戦指揮機構(戦区統合作戦司令部)、さらに戦区隷下の統合部隊に指揮命令が下達されることで指揮結節が減少、スピードのある作戦指揮が可能になる。

 しかし習主席の大規模な軍組織改革にも幾つかの問題があり直ちに機能を発揮するとは考え難い。中央軍事委の下に15もの指揮・管理機構がぶら下がっている▽「戦区主戦」と「軍種主建」で軍令、軍政を分割管理している▽各軍種司令部に指揮権を与えていない-など組織問題が残り、その機能発揮に楽観は許されない。

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