【人工知能時代を生きる】創造は情報の組み合わせから (2/2ページ)

2016.3.21 05:00

「人工画家・静7号」が描いた絵画

「人工画家・静7号」が描いた絵画【拡大】

 創造学会の高橋誠理事(73)は「人間の頭の中には多くの情報があるが、常識や経験則などが良い組み合わせの阻害要因になっている」とみる。

 AIは、先入観を持たずに無限の組み合わせを実行するため、“創造的”なものがたまたま生まれる可能性はある。松原教授は「基本的には確率の問題」とみており、「良質な組み合わせ」の頻度をどうやってあげていくかが今後の課題だ。

 小説のラストでは、眠気を解消してほしい「邦男」の要求を、悪魔が聞き入れ呪文(じゅもん)をつぶやく。

 〈邦男の眠気はさっぱりと消え飛んだ。レポートもばっちり書けた。しかしそれ以来、邦男は一睡もすることができなくなった。〉

 決まったように見える“落ち”も、今のところは偶然の産物のようだ。

                   ◇

 日本では今後20年以内に労働者の約半数の仕事が、AIやロボットに代替されると予測されている。急速に進歩するAIの得手不得手を知ることは、人間に固有の力とは何かを理解することにもつながる。テクノロジーとの共存が待ち受ける未来を展望する。

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