パソコンを使ってチェスの指導をする小島慎也さん(右)=2月、東京都渋谷区【拡大】
時には定跡から外れた「人間では100年先まで思いつかない」ような手を打つ。人より強く、疲れによるミスもない以上、そこには必ず何らかの意味がある。プレーヤーはそれを考え抜くことで、新たなアイデアを吸収しているという。
ただ、コンピューターはまだ、あらゆる場面で完璧な手を見つけられるわけではない。小島さんは「ある一手に限れば、人の読みが上回っていると感じる瞬間はある」と自負ものぞかせる。
近年、チェスよりゲームが複雑な将棋や囲碁でもプロ棋士が負けた。世界最強の指し手が人でなくなるのは時間の問題とみられている。
だが、小島さんはそんな現状を楽しんでいるようにも見える。「変化に適応できるのは人の強み。チェス界とコンピューターだって、30年前には思いもしないような形でうまく付き合っている。100年後もきっとできるはずだ」