【論風】熊本地震 想定外の震災再び 「備災」は国民の義務 (2/3ページ)

2016.5.12 05:00

 「熊本には地震はない」と多くの市民や行政、地元メディアも考えていた。3年前の2013年8月、今回支援に入った熊本ローカル局は熊本地震特番を放送しており、筆者はそのお手伝いをした。その縁で今回の支援へとつながるのだが、当時はまったく視聴者も放送局もしらけていたことを思い出す。

 そんな地震への備えが無防備な熊本を直下地震が襲った。21年前の阪神・淡路大震災も「神戸には地震がない」と考えていたところに震度7の直下地震が襲った。地震直後の熊本被災地の姿は、多くの家屋が崩壊した21年前の神戸市の姿と全く同じだった。

 今回の特徴の一つに1回目の震度7に何とか耐えた家屋へ戻り2回目の震度7で崩壊したため亡くなった方がいる。これは東日本大震災のとき、第一波の後、自宅に戻りその後の巨大津波で亡くなった事例と同じではないか。それが内陸直下地震で繰り返されてしまった。

 ◆新耐震基準見直しか

 2回の震度7によって被災者は増加し、避難所には入れず、また連続する余震の恐怖から逃れるために車中避難も多い。結果、エコノミークラス症候群が多く発生し、死亡者も出た。同時に震災関連死も早い時期に発生し、想像を超えるストレスが被災者をむしばんでいることがわかる。

 被災した建物調査が進む中、新耐震基準(1981年6月以降)で建てられた住宅や避難所の体育館などが2回の震度7の烈震には耐えられずに崩壊している事例が報告されている。この新耐震基準だが、震度7が連続して起こる地震力に耐える想定はない。この現実を受け、今後耐震基準を見直す必要があるか議論を待ちたい。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。