【論風】進む食の欧米化 安全安心重視で新たな商機を (2/2ページ)

2016.8.11 05:00

 百歩譲って、上記を全て現実の生活でやむなしとして受け止めたとしても、厚生労働省が警鐘を鳴らすように、1日当たり毎日350グラムずつ野菜を食べていれば、まだ多少は救われるのだが、実際には目標を大きく下回り、男性で280グラム、女性で260グラム程度にとどまっているのが実情。日本の食は野菜中心であったはずなのに。

 野菜は、ビタミンやファイトケミカルなどさまざまな栄養補給機能(身体の健康)はもちろんだが、食物繊維やカリウムなど体内の老廃物や不要なものを排出する代謝機能もあり、また亜鉛など精神安定効果(心の健康)もあるのだから、スーパーフードだ。

 旬に応じた、季節感のある食を重視することも、情緒面はもちろん、科学的機能面でも不可欠。重要なのはバランスであって、肉も炭水化物も、それぞれが決して批判の対象ではない。

 ◆食育の向上急務

 しかし、それらに偏って、過度に摂取していることは大問題だ。だからといって、メディアからあふれ出る健康情報に一喜一憂し、極端な食生活をすることは、お勧めできない。食の欧米化は、日本人の健康悪化と、農村の衰退も招いた。われわれ日本人には、日本の食生活を見直すためのタイムリミットが迫っている。このままでは間もなく地方や農村が崩壊し、手遅れになってしまうからだ。日本の食の見直しは心と身体の健康、農業という産業、地方経済、食文化、あらゆる面から日本に大きく貢献する。肉、油、糖、添加物を減らし、野菜を増やすことだ。

 家庭の食のあり方や、学校における食育レベルの向上は急務だ。政府や文科省は、国民に真の食のあり方を伝えなければいけない。政府は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)により危惧される、食の安全安心の崩壊を、絶対に防がなければならない。食品業界は、利益至上主義からの脱却で真の安全安心重視の商品開発にかじを切るべきだ。そこには、国民の幸せと、新たな商機、世界への貢献がある。

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【プロフィル】鈴木誠

 すずき・まこと 慶大商卒、1988年東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社。ベンチャー投融資担当などを経て98年退社、2001年日本ブランド農業事業協同組合事務局長、03年3月ナチュラルアート設立。農業経営・地域経済活性化・店舗運営・食育プロデューサー。大正大学客員教授。八戸学院大学客員教授。50歳。青森県出身。

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