【ソウル=名村隆寛】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領から機密資料を提供され、国政に介入疑惑がある友人の女性実業家、崔順実(チェ・スンシル)氏が31日、ソウル中央地検に出頭した。検察は容疑内容を明らかにしていないが、崔氏を容疑者として取り調べた。
崔氏は出頭の際、報道陣に「死んで償うほどの罪を犯しました。国民のみなさん、許してください。申し訳ありません」と語った。
朴氏は10月25日に崔氏への資料の一部提供を認めており、最大の焦点は、崔氏が国政にどこまで介入していたか。検察では、崔氏が朴氏の演説草稿に手を加えたり、大統領関連の資料を受け取った疑いについて追及したとみられる。
また、崔氏は大統領の友人である立場を利用し、大統領府が設立に関与した疑いのある二つの財団に資金を出すよう財界に要求し、企業から約800億ウォン(約74億円)を提供させた疑惑がある。財団を私物化し資金を流用した疑いがあるほか、娘の大学への不正入学などの疑いが浮上している。検察はこれらについても集中的に聴取したもようだ。
崔氏は10月30日に欧州から帰国。帰国前の韓国メディアとのインタビューで、国政介入や財団の私物化などは否定しており、検察の聴取に対しても疑惑を否定したとみられる。
韓国では朴氏と崔氏への非難の一方で、検察の捜査が遅れたことへの批判が強い。検察は崔氏逮捕に持ち込む構えだが、真相解明がどこまで進むかは不明だ。