「キャパなさ過ぎ」自殺した電通社員へ上司がパワハラ発言 厚労省「鬼十則体質」追及

自殺した電通社員、高橋まつりさんの遺族の会見に臨む弁護士ら=7日、東京・霞ヶ関(天野健作撮影)
自殺した電通社員、高橋まつりさんの遺族の会見に臨む弁護士ら=7日、東京・霞ヶ関(天野健作撮影)【拡大】

  • 高橋まつりさんの遺影と母親の幸美さん=2016年10月7日、東京・霞が関(天野健作撮影)

 厚生労働省幹部は「過労自殺した新入社員個人の問題ではない。全社的な労務管理状況を調べたい」と話していた。亡くなった高橋まつりさんの遺族側は、月に100時間を超える長時間労働があったことや連続53時間勤務を疑わせる入退館記録、「今の業務量でつらいのはキャパがなさ過ぎる」といった上司のパワハラ的言動があったとする。

 電通の労使が合意した残業時間の上限は70時間。しかし、高橋さんの自己申告に基づく会社の記録では「69・9時間」(10月)など、協定時間のぎりぎりに。遺族側は「会社が過少申告をさせていた」と主張。高橋さんの自殺を受けた労働局の調査では、他の社員にも、同じようなケースが確認されたという。

 電通には1950年代に当時の社長が示した「鬼十則」という仕事の心構えがあり、「取り組んだら放すな、殺されても放すな」などの言葉が並ぶ。遺族側はこうした古い企業体質も問題視していた。