ここで肝心なのは、何か。
グローバルに通用するものがあると、あまりに無邪気に期待し過ぎないことである。
英国のEU離脱や米国大統領選の結果から、「行き過ぎたグローバリゼーションに対する違和感や不満」という表現をよく聞くが、およそローカル文化でしかありえない範囲、グローバル文化が通用する領域に対する認識の欠如があるのではないか。
行き過ぎたのではない。無知と無自覚が生んだ弊害である。ボーダーレス化は現実的な活動方針であり、最終的に「ボーダーがまったくない」社会になるわけではない。
ローカルの限界は、まずもって地域に生きる身体的スケールと認知の幅からくる当然の帰結である。グローバリゼーションに乗り遅れたとか、乗り切れなかったという話ではない。グローバリゼーションを勝手に振り回した人間の想像力の欠如である。
身の丈の適正に異議をとなえ潰しにかかった怪物が、とうとう説得される側になる時代が来た。自作自演の失敗である。(安西洋之)
【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)
上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。