大ヒットなのに受賞逃す「君の名は。」… アカデミー会員の“ジブリ信奉”も一因? (2/3ページ)

アニメ映画「君の名は。」(東宝提供)
アニメ映画「君の名は。」(東宝提供)【拡大】

  • 昨年8月に公開された「君の名は。」は邦画歴代2位の興行成績240億円を記録。いまだに上映が続いている。(東宝提供)

 「ベスト・テンの選考委員は、映画評論家やジャーナリストなど。日頃多数の映画を見ており、『一般の人が知らない作品を見つけてくるのが自分の使命』と考える人も多い。このため、大ヒットしたエンターテインメント系の王道作品は上位に入りにくい傾向が出るのです」

アカデミー会員に“ジブリ信奉”?

 一方、米アカデミー賞では、なぜノミネートされなかったのか。

 そもそも、これまで同賞の長編アニメ賞には、日本からはスタジオジブリ作品しかノミネートされたことがない。今回も、「君の名は。」は審査対象にはなったものの、ノミネート作品に選ばれたのは、ジブリがオランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督と組んだ「レッドタートル ある島の物語」だった。

 アニメーション研究家の氷川竜介さんは、「昨年もエンターテインメント色の強い『バケモノの子』(細田守監督)がノミネートされるものと思っていたら、(児童文学が原作の)ジブリ作品『思い出のマーニー』(米林宏昌監督)が選ばれた。アカデミーの会員側に“ジブリ信奉”のようなものがあるのかもしれない」と話す。

日米の差

 氷川さんは「君の名は。」を「究極の恋愛物語。エンタメの王道を行きつつ、若者に新鮮な世界観と希望を与えた」と高く評価。しかし、「お国柄によって受け止め方に差が出ている可能性はある」とする。

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