大学だけではない。内閣府も14年に立ち上げた「戦略的イノベーション創造プログラム」の中でゲノム編集技術活用の工程表を組んでいる。挙げられている品目は、超多収性の稲、1年で実のなる果樹類、おとなしくていけすに衝突しないクロマグロなどだ。
このほか、国産ゲノム編集技術を開発し、画期的な性質を持つトマトやジャガイモの新品種を作出したい考えだ。
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ゲノム編集によって品種改良は、従来とは異質の新ステージに突入した。人工知能(AI)と並んで、人類の将来を大きく変え得るテクノロジーである。利便性の高さとともにリスクも底なしだ。
ヒトの受精卵からミオスタチン遺伝子を削除すれば、怪力のオリンピック選手の誕生につながろう。そうした利用は論外だが、中国では15年に医学研究目的としてヒトの受精卵にゲノム編集が行われた例がある。人類の自制心は、いつまで誘惑に抗し続けることができるのか-。
ここまで書いた翌日の14日、米科学アカデミーから、受精卵などにゲノム編集を施した子供の誕生を容認する旨の報告書が発表された。遺伝病の治療目的に限るとしているが、早くも解禁宣言である。後は際限がないのが世の常だ。