
都議会の調査特別委員会(百条委員会)での答弁を終えた福永正通元副知事(左)と大矢実元中央卸売市場長=11日午後、都庁(酒巻俊介撮影)【拡大】
豊洲市場(東京都江東区)の移転問題を検証する都議会の百条委員会の証人喚問が11日始まり、用地取得に向けた都と東京ガスの水面下交渉の様子を記したとされるメモの内容が明らかにされた。それによると、都の担当者は「(当時の)石原(慎太郎)知事が安全宣言しなければ、土地の価格が下がって困るだろう」などと発言。土壌汚染による用地の価格下落の可能性を突きつけながら、東ガス側に早期の売却決断を迫ったとする内容が記されているという。
問題をめぐっては、交渉役の浜渦武生元副知事が平成12年10月、売却に難色を示す東ガスに「水面下でやりましょう」と提案。13年7月には移転で基本合意に至っており、東ガスが翻意した水面下交渉の経緯解明は百条委の焦点の一つとなっている。
証人喚問で明らかにされた東ガスが提出したメモによると、12年12月、浜渦氏の指示を受けた当時の交渉実務者だった赤星経昭・政策報道室理事が、東ガスとの話し合いの中で発言したとされる。
赤星氏は11日、産経新聞の取材に応じ、「都は土地を売ってもらう立場。そんな発言をするわけがない。自分の権限を越えている」とメモの内容を否定。東ガスの市野紀生元会長も百条委で「初めて聞いた。よく分からない」と証言し、メモの真偽が今後、問われる可能性がある。