漫画無料公開、被害100億円 大手出版社、再開を警戒 法的手段検討 (1/2ページ)

閉鎖した、漫画などの海賊版サイト「フリーブックス」の画面(一部画像処理しています)
閉鎖した、漫画などの海賊版サイト「フリーブックス」の画面(一部画像処理しています)【拡大】

 「ワンピース」「騎士団長殺し」-。ベストセラーの漫画や小説など過去最大級の5万点をインターネット上で無料で読むことができた海賊版サイト「フリーブックス」が、今月初めの閉鎖後も出版関係者らに波紋を広げている。多くの中高生にも広まったこの海賊版サイトの被害額は、閉鎖までの1カ月で約100億円に上ることが判明した。知的財産保護の観点から、今後、著作権法の改正を視野に議論が進められる文化庁の関連審議会でも、フリーブックスの問題が取り上げられる可能性がある。

 驚異の読みやすさ

 「海賊版という違法性の認識が薄れてしまうほど、サイトのレイアウトが整っていた。本当に特別なサイトだった」。大手出版社で海賊版取り締まりの強化に取り組んできた担当者によれば、フリーブックス以外の海賊版サイトでは、頻繁にみだらな広告が表示されたり、特別なソフトウエアを使って漫画などをダウンロードする必要があるなど、利用に対するハードルが高かった。

 しかし、フリーブックスは広告がほぼゼロでダウンロードも不要なため、出版社の電子書籍担当者も驚くほど読みやすく、「中高生が授業中にスマートフォンで読むほど」(出版社関係者)急速に広まった。ウェブサイトのアクセス分析などを手掛けるシミラーウェブによると、4月17日までの1カ月間のアクセス数は1750万件に達した。大手出版社は1月中旬にフリーブックスの存在を把握。2月にはサイトの問い合わせフォームを通じて削除要請を行った。削除された作品もあったが、その後再び掲載される「いたちごっこ」を経て、2月下旬には要請に一切、応じなくなったという。

突然、サイトが閉鎖 「DDoS攻撃」を受けた可能性