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□自動車リサイクル促進センター・宮林克行専務理事
■使用済み自動車 “無駄なく富に変わる”ことを知ってほしい
2005年1月から運用が始まったわが国の自動車リサイクルシステムは、すでに社会に定着し、リサイクル率(重量ベース)も当初の82%程度から現在では99%まで高まるなど、順調に機能している。不法投棄・不適正保管台数も当初の40分の1近くまで削減できた。メーカーなど関連事業者には、解体しやすい車体構造、リサイクルしやすい部品、部材の採用、リサイクルの高度化などが期待される。
一方で、人口減少・高齢化を背景に、車社会の姿も変貌していくことが予想される。今後20年、30年というスパンで自動運転が普及し、個人での所有からレンタル・リースシェアなどのサービスが主流になる可能性もある。
新しい自動車リサイクルは、資源利用の効率化に重点を置いた従来型から一歩踏み出し、無駄を富に変える「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」に根差したものになると考える。その意味で、カギを握るのがユーザーの役割だ。ユーザーは、リサイクル料金を負担し、使用済み自動車をリサイクルルートに乗せる役割も担っている。ユーザーが主体的に参加することで、自動車リサイクルは社会システムとして成長・進化していく。自動車としての残存価値はもとより部品、資源を含め“無駄なく富に変わる”ことを知ってもらいたい。