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■自動車リサイクル法制定の発端「豊島事件」 今年ようやく無害化処理が終了
自動車リサイクル法の制定が急がれた背景の一つに、瀬戸内海に浮かぶ豊島(てしま)(香川県)を舞台に、大規模な産業廃棄物の不法処理・投棄が行われた「豊島事件」が挙げられる。オリーブやレモン栽培などで知られた豊島だったが、1970年代から産廃処理業者が進出。大量のシュレッダーダストを持ち込み、野焼きや不法な埋め立てで大規模な環境破壊が行われた。産廃の埋め立て用地の不足、処理費用の高騰なども事件の背景とされる。
90年代、原状回復などを求め、公害調停に踏み出した島民らの活動が全国的に高い関心を集め、同島からの産廃の撤去などが決まった。この事件と折からの環境意識の高まり、欧州での自動車リサイクル規制強化の動きが相まって、抜本的な自動車リサイクルの仕組みが導入された。
香川県は今年3月28日、2000年6月に地元住民と合意した公害調停に基づき、約14年かけて計約90万8000トンの産廃・汚染土壌を豊島から搬出した。5月末には、近くの直島(同県直島町)で行われていた焼却・溶融による無害化処理も終了した。