
福島第1原発事故をめぐる初公判のため東京地裁に入る東京電力の勝俣恒久元会長=30日午前【拡大】
その間、3人はほぼ動かなかったが、勝俣被告のみ時折、指定弁護士の方に視線を向けていた。
起訴状では、従来想定を超す地震と津波が発生する可能性があり、その対策を進める義務を怠り、結果として23年に福島第1原発の原子炉建屋でのガス爆発事故などを招き、近隣の双葉病院の入院患者を避難に伴う体調悪化で死亡させたなどと指摘した。
続けて永渕裁判長は黙秘権について説明した上で、それぞれに対して罪状認否を尋ねた。
「起訴状に対する意見を言う前に申し上げたい」
勝俣被告は突然そう切り出した。
「福島第1原発から放射性物質をまき散らすという重大事故を引き起こし、(原発)周辺、福島、社会に大変な迷惑、心配をかけた。改めておわびする」
勝俣被告は謝罪の言葉を口にした上で、「私が事故を予見することは、当時は不可能だったと考える。従って刑事責任について、私は適用されないと考えている」と前を見据え、きっぱりと答えた。続けて弁護人も「無罪を主張する」と付け加えた。
その後、武黒被告や武藤被告も同様に謝罪の言葉を語った上で、「予見は不可能で私は無罪」「振り返ってみても事故は予見できなかった」と無罪を主張。すると、傍聴席にいた多くの報道陣が、報告するために慌ただしく法廷を出入りした。