
カンボジアのフン・セン首相(AP)【拡大】
フン・セン首相の対米強硬姿勢の背景には、深まる中国との関係があるともいわれる。カンボジアは、東南アジア諸国連合(ASEAN)内で「中国の代理人」とまで呼ばれるほど中国にすり寄っており、その見返りとして多額の援助や軍事協力を得ている。人権問題やガバナンスの正当性を重視しない中国の外交は、フン・セン政権にとって心地よく都合がいい。
カンボジア国内では、救国党勢力の切り崩しが始まっている。前党首のサム・レンシー氏、副党首のムー・ソクア氏ら野党議員たちは逮捕を恐れて国外に逃げている。現地紙によると、地方の野党議員たちは「今のうちに与党に加わらなければ、政治活動ができなくなる」と与党側にささやかれ、実際に離党する人たちも出始めた。13年の総選挙前後には頻繁に開かれていた与党批判の集会も影を潜め、社会全体に物言えぬ空気が漂う。
カンボジアでは、選挙改革支援として日本や欧州連合(EU)が援助を続けている。今回のような手段で最大野党解党の判決が下った場合、果たして総選挙が公正に行われるといえるのかどうか。援助国として日本の姿勢も問われることになるだろう。(カンボジア月刊邦字誌「プノン」編集長 木村文)