【生かせ!知財ビジネス】ひのき特許事務所、50周年で業務拡大へ意欲

創業50周年を迎えたひのき特許事務所の西脇博志所長(左)と浜田聖司副所長。今後は海外出願業務などの強化を図る
創業50周年を迎えたひのき特許事務所の西脇博志所長(左)と浜田聖司副所長。今後は海外出願業務などの強化を図る【拡大】

 ひのき特許事務所(東京都台東区)は、都営地下鉄浅草線の蔵前駅から徒歩1分のところにある弁理士4人の特許事務所だ。規模は大きくないが今年創業50周年を迎えた。7日には法務局へ特許業務法人の設立登記を申請、法人化による業務拡大に意欲を燃やす。2015年12月まで所長を務めた水垣親房弁理士(72)は「創業以来、大手電機会社の特許出願を本来業務としてきた。この姿勢を堅持しつつ、特許業務法人として顧客の幅広いニーズに対応していければと」と話している。

 同事務所の特徴は創業以来、所属する弁理士すべてが特許庁の精密機器や電気・通信分野の審査官と審判官の経験者で占められてきた点だ。例えば、担当審査官が特許を認めない見解を示しても、出願した特許明細書の内容をどう補正して、出し直せばよいかが推察できるという。ベテランの浅見保男弁理士(69)は「審査部門で審査官が論議するのと同様、元審査官のわれわれも論議しているからだ。審判官として出廷も数多く経験しており、知財訴訟に強いのも特徴だ」と説明する。

 現所長の西脇博志弁理士(54)は、現在の知財総合支援窓口制度の原型となった特許流通アドバイザー制度を構築した元幹部の一人で、大学・中小企業向け支援現場の経験も数多い。副所長の浜田聖司弁理士(50)は英語と中国語に堪能で国際政策の場でも活躍。パテントトロール問題にも詳しく、米国の著名な専門書「破綻する特許」の翻訳者でもある。

 特許業務法人としての今後の目標について、西脇所長は「まず海外出願業務を強化したい。名称もひのき国際特許事務所への変更を検討している」と話す。浜田弁理士は「各国語での特許明細書の執筆はもちろん、各国特許庁の審査官との直接折衝も可能だ」と自信をのぞかせる。このほかコンサルティング業務を新設して、知財部門の手薄な大手企業や中堅企業、大学の研究室などの相談にも対応していく方針で、準備を進めている。

 西脇所長は、「元審査官、元審判官だということをピーアールするつもりはまったくない。自分たちの経験や知識から培われてきた能力を使って、顧客のために何ができるのか、何ができないのかを考えて、真摯(しんし)な対応をしていく中で、業務拡大を図っていきたい」と語った。(知財情報&戦略システム 中岡浩)