【生かせ!知財ビジネス】グローバル戦略の知識必要 桑原良弘・ディスプロ社長


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 中小企業の製品・事業の開発や知財構築を支援するディスプロ(東京都練馬区)の桑原良弘社長。開発と知財の両現場に詳しく、特許庁や公的支援機関の中小企業向け施策や教育事業にも関与し、全国を飛び回る。中小企業の知財戦略や海外進出の留意点などを聞いた。

 --特許庁は、特許料など一律半減策で中小企業の支援を検討している

 「大変ありがたいが、減税もあればベストだ。中小企業のコスト構造を考えると、特許料値下げが出願費用拠出にすぐ結びつくか、現実は難しいからだ。出願を増やすには企業の開発活動を活発化させることも重要だ」

 --中小企業の活動には金融機関の役割は大きい

 「事業支援に取り組む中、地域金融機関、特に信金が知財に関心を持ち始めた。中小向け知財セミナーに財務局職員がいて驚くこともある。しかし企業評価では事業計画、財務状況、担保を重視する手法は同じだ」

 --知財は未来を見るための評価項目とも言われる

 「誤解を恐れずに言えば、知財や知的資産を洗い出して評価しても、多くは過去の成果。重要なのは企業が今後の事業構想、計画の中で特許やノウハウとなった技術などの強みやその活用を金融機関へ説明できるかだ」

 --2018年、中小企業がやっておくべきことは

 「東京オリンピックへ向け、日本の製品や企業の注目度が高まってくる。早急に知財権を固めておく必要がある。まずはブランド、商標、そして意匠、特許の順で進めてほしい。ものづくり、サービス業とも同じだ」

 --海外ではブランド盗用や摸倣品などが増えそうだ

 「警戒すべきだ。国や自治体の海外展開支援事業やクラウドファンディングを使って、製品や技術の情報を海外発信する中小企業が増えているが、その前に自らの知財権の状況を確認しておく必要がある。今こそグローバルな知財マネジメント知識を身につけ実践してほしい」

 --「日本発」を言うだけでも事前の対応が必要だ

 「学ぶことで新たな道も開ける。例えば、今やインドネシア、マレーシア、ベトナム、タイといったアジアの工科大学のレベルは非常に高くなっている。今後は、中小企業が海外の大学と共同研究し、良い成果を日本へ逆に持ち込むという新たな戦略も可能になってくる」(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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【プロフィル】桑原良弘

 くわばら・よしひろ 都立航空高専(現都立産技高専)卒。1987年精密部品メーカーに入社。コンサルティング会社、特許庁の特許流通アドバイザーなどを経て、2007年10月ディスプロを設立、現職。51歳。東京都出身。