「地方の大学を盛り上げる動きには大賛成だが、だからといって東京23区の大学定員を抑制していいということにはならない」と反発するのは、全国123の私大が加盟する日本私立大学連盟の担当者。
「期限を設けるといっても10年は長すぎる。グローバル化に伴う変化やAI(人工知能)の研究など、これからの時代は大学に求められるものも違ってくるはずだ。第三者機関などで必要だと判断されれば23区内の大学でも学部の増設や定員増が認められる例外措置を講じるよう政府には要望している」と強調する。
地方の大学はどうみるのか。国立の愛媛大の赤間道夫教授(社会連携推進機構)は「いまの時点ではまだ分からない」としたうえで、「地方から東京の私立大学へ進学すると、保護者は学費や仕送りを合わせて年間200万円はかかるといわれる。10年間、23区の大学の定員増が禁止されれば、地元の、特に授業料の安い国立大志向の学生は増えるかもしれない」との見解を示す。
愛媛大は地域で就職する人材の育成に力を入れており、16年度の卒業生の県内就職率は、総合大学では異例の40%に達しているという。法案が通れば「最終的には50%を目指している」(赤間氏)という目標に一歩近づくかもしれない。
都心部に拠点を置く大学にとって、定員抑制は死活問題だ。夕刊フジで「親も知らない今どき入試」を連載する大学通信の安田賢治氏は「東京国際や東洋、専修など、すでに土地を購入し、理事会で学部を作ることが決定している大学を除けば23区内で学部の新設は許されない状況だ」と指摘する。