【生かせ!知財ビジネス】トータルで情報をどう管理するか


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 ■ABS・森口亜紀氏に聞く

 タイムスタンプは、企業が特許権や先使用権の獲得、営業秘密化などを進める際の証明手段として特許庁も注目する技術だ。タイムスタンプサービスの第一人者、アマノビジネスソリューションズ(ABS、横浜市港北区)の森口亜紀・タイムビジネス事業推進部長に聞いた。

 --タイムスタンプのユーザーは増えているのか

 「この十数年間、案件数では右肩上がりだ。顧客は知財部門が多く、75%ほどを占める。特許をとりにくい分野にある企業は業種、規模を問わず、相談がある。最近は圧倒的に食品関連が多い。新商品のライフサイクルは短く、特許をとる時間がない上、プライベートブランド(PB)商品の開発では複数社で情報を提供し合う機会が多く、ノウハウ流出の恐れがあるからだ」

 --どのようなサービスを提供しているか

 「幅広いソリューションがある。顧客が手動で1件ごとにタイムスタンプを付与する仕様から、タイムスタンプの自動生成、検証機能を特許管理サービスのオプションとして組み込むソフトウエアの開発キットまである」

 --普及、品ぞろえとも順調そうだ

 「課題はある。例えば、先使用権の立証には、研究開発、発明の完成、事業化準備の決定、事業準備、事業開始・開始後、実施形式などの変更の6段階のうち、まさに事業開始までの間に計画があったことを、時系列で証明しないと権利は勝ち取れないのである」

 --複数段階での膨大な情報の準備が必要なわけだ

 「タイムスタンプが普及するにつれ、どう管理をするかを考え始めた。最終形はトータルで情報をどう管理するかに行き着く。このため企業の文書管理や情報管理の分野で知見を持つ企業とアライアンスを組み、新たな文書管理ソリューションの開発、投入を始めている」

 --その先に必要となる機能やサービスとは何か

 「(対象が膨大になるため)タイムスタンプを押す、押さないなどの判断を人間が行うには限界がくる。例えば『これは知財ではないですか』とか(システムが)通知を出す仕組みが必要になるだろう。AI(人工知能)を活用するならば、通知に対して(人間が)判断したデータを集めていく必要もあろう。一足飛びにはいかないので、少しずつ検証しながら見定めていきたい」(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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【プロフィル】森口亜紀

 もりぐち・あき 玉川大卒。1989年アマノ入社、2000年にタイムビジネス事業の立ち上げに参画以降、製品開発と普及啓蒙に注力している。51歳。東京都出身。