「安全の根幹にかかわる製造ミス」
まずはこの手の問題で追及が厳しいといわれる朝日新聞の社説(3月2日付)から見ていこう。朝日社説はその冒頭で「安全の根幹にかかわる製造ミスだ。点検体制見直しや他の車両の安全確保が必要である」と主張する。
この主張はその通りでうなずける。それに「安全の根幹」「製造ミス」「安全確保」という言葉が、単刀直入で実に分かりやすい。
次に朝日社説はこう指摘する。
「台車は車体を支え、枠は強度を高める重要な部材だ」
「メーカーの川崎重工が、設計基準では厚さ7ミリ以上いる枠の底面を4.7ミリまで削っていた。溶接する別の部材とのすき間を調整しようとした現場の判断だった。これが強度に影響し、亀裂が広がったという」
「新幹線部品の製造現場なのに、現場判断で設計以下に削ったことは驚きだ」
現場が設計を無視する。朝日社説が指摘するように考えられない事態である。
船舶や航空機など大勢の乗客を運ぶ乗り物の設計の大前提となるのは、安全である。新幹線などの列車も例外ではない。それを設計者に相談することもなく、勝手に変更してしまうのだから安全に対する意識のかけらもない。