がん治療 血液細胞、活性化で免疫力増強 慶応大病院で治験開始

 慶応大病院は、がん患者自身の血液に含まれる細胞を使って体の免疫力を増強し、がんを攻撃する新しい治療法の臨床試験(治験)を始めた。マウスの実験では、1回の細胞投与で長期間の効果が確認されており、幅広いがんに効く可能性があるという。

 投与する細胞は、共同研究を続けているバイオベンチャー「アンビシオン」(東京都新宿区)が供給する。

 2019年末までに安全性を確かめ、27年度に国の製造販売承認を得ることを目指す。

 治験では、参加したがん患者から血液を採取。そこから特定の種類の細胞を取り出して活性化させ、体内に戻す。これによって免疫細胞の一種、ナチュラルキラーT細胞を刺激し、がんを攻撃する別の免疫細胞を大量に増殖させる。

 安全性を確かめる初期段階では対象の臓器を絞り込まず、血液がん以外の患者十数人に参加してもらう。

 治験と並行し、どんな種類のがんに対して効果が見込めるかも研究する方針だ。