ストリートサッカーで身につくメンタル
スペイン人と日本人の根本的なモラルの違いは、すぐ目にとまる。
昨年の秋、スペインの広場での話だ。年端のいかない、7~8歳の男の子たちがゴム製のサッカーボールを蹴っていた。脇にオープンテラスがあって人通りも激しく、通りには車が通る。そこで、子供たちは逡巡なくシュートを放つ。もしテラスにボールを打ち込めば、テーブルの上をひっくり返すことになる。おばあさんの頭に当たれば、あるいは走っている車に当たれば、事故になる可能性も捨てきれない。
にもかかわらず、子供たちは渾身の力を込めてボールを蹴る。そこに躊躇(ちゅうちょ)がない。彼らは空気を読むなんてメンタルはないのだ。
ただ、同行していたスペイン人指導者はこう言った。
「子供たちなりに計算はあるんだよ。周りを見て、最悪の事態にはならないことをできる限り回避している。むやみに脚を振っているわけじゃない。独特の緊張感の中で、無意識にスキルや度胸を身につけている。リスクをかけて勝負する感覚が、われわれは好きなんだ」
味方や敵との呼吸を身につける。そこでゴールをできる子どもは、ストライカーとしての資質があるのだという。
実はラウールも、ストリートサッカーをしている姿を見かけられ、スカウトされている。ぎらついた目でにらみ、才能が光っていたという。それは、見る人が見れば一目で見抜ける。