
日本財団の支援で建てられた校舎のそばに並ぶ生徒たち=3月5日、ミャンマー西部ラカイン州シットウェ(共同)【拡大】
長期にわたった軍事政権下で予算が削られ、質が低下したミャンマーの教育分野への支援に日本が取り組んでいる。ミャンマーでは民主化後の新時代を担う人材の育成が急務。安全な校舎の建設や教科書改訂への支援を通じ、国造りに一役買っている。
西部ラカイン州の州都シットウェにある学校で3月上旬、日本財団の援助で同州に建設された校舎が100校になったことを記念する式典が開かれた。同校に通うニー・ニー・トー君(12)は「援助に感謝している。将来は医者になりたい」と話す。
日本財団によると、2006~08年に入学した児童のうち小学4年になるまでに通学をやめた子供の割合は、全国平均で11%。老朽化した校舎も理由の一つで、飛び出たくぎなどで子供がけがをし、保護者が通わせないケースもあるという。
日本財団は軍政時代の02年から北東部シャン州で新校舎建設の支援を開始。ラカイン州では12年に始め、建設作業に住民が参加することで土木工事の技術習得につながる形で進めてきた。
現地での作業を担当する日本の認定NPO法人、ブリッジエーシアジャパンの森晶子さんは「新校舎を建設したことで、100校で学ぶ生徒の合計は建設前に比べて4000人以上増えた」と話す。
ラカイン州はミャンマーでも特に貧しい地域で、イスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害問題で国際社会の注目も集める。100校の中には、対立する仏教徒とロヒンギャの子供たちがともに学ぶ学校もある。
ミャンマーでは暗記中心の勉強が主流だったが、今後は問題解決力やコミュニケーション能力を育てる必要があるとして、同国政府は子供が主体的に学ぶための教材や環境づくりを模索する。
紙質が悪く文字ばかりで、20年以上、大規模改訂がなされていなかった小学校の教科書は、17年から国際協力機構(JICA)の協力で新しいものに替わり始めた。カラーでイラストも多く、子供の興味を引く内容になっている。JICA担当者は「基礎教育のレベルが低いと、高等教育への影響も大きい」と底上げの大切さを訴えている。(シットウェ 共同)
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【用語解説】ミャンマーの教育
日本財団や日本外務省などによると、ミャンマーの教育制度は小学校5年間、中学校4年間、高校2年間。地方には僧侶が寄付金などで経営する僧院学校もあり、貧しい子供たちの就学の場となっている。ヤンゴンのような大都市と、少数民族が住む辺境地域の間の教育格差は大きく、改善が課題となっている。(シットウェ 共同)