
車道(右)の通行に影響なく杭打ち工事が進められる鎌倉の海岸=神奈川県【拡大】
この現場で、既存の堤防に鋼管を打ち込むインプラント工法が採用されることになり、地元住民と合意が成立。騒音や振動が抑えられることに加え、工事に要する場所が少なくてすむことから、工事現場は車道から2メートルほどしか離れていなかったにもかかわらず、車などの通行に影響を与えることなく、工事が進められた。
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技研製作所によると、インプラント工法を採用した工事では、工事期間中の周辺環境への影響が小さいことに加え、「完了後も、高潮などによる振動や音が格段に小さくなっているとの情報が住民から寄せられている」という。
こうした工事の諸環境への配慮は、技研製作所の「建設の五大原則」に依拠している。原則では、「いかなる工事も環境性、安全性、急速性、経済性、文化性に対し調和をもたらすべき」と規定。原則の実践と工法開発が相互に作用し合って進められており、工法への高い評価につながっているようだ。
=敬称略
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首都直下、南海トラフの地震や多発する水害の危機が迫る中、独創的な工法が注目を集める「技研製作所」は創業50年を迎えた昨年、東証1部上場を果たした。この連載では、北村精男氏が一代で興した同社が、世界企業として発展してきた半世紀を追う。