【生かせ!知財ビジネス】日本台湾交流協会・福村拓氏に聞く(下)

 ■営業秘密漏洩対策で法改正

 アジアで重要な日本のパートナーである台湾。現地で活躍している日本台湾交流協会台北事務所の福村拓主任に、台湾の知財に関する課題や環境などを聞いた。

 --特許出願がIP5(先進5カ国=日米欧中韓=特許庁)に次ぐレベルにある台湾は、知財面では先進国入りしつつあると言ってよいか

 「台湾は半導体や電子部品などで非常に強く、関連の特許出願も多いが、技術貿易収支はまだ赤字だ。2016年は約22億ドル(約2370億円)の赤字で、支出の約78%は米国、約13%が日本で、収入は約35%が中国・香港から。日米などから特許許諾を受けて中国の工場でOEM(相手先ブランドによる生産)を行う事業モデルだ。先進国と呼ばれるには技術貿易収支の改善はポイントの一つではないだろうか」

 --技術開発面では次代の産業発展モデル確立へ向け蔡英文総統が5+2イノベーション計画を掲げている

 「具体策がまだ出されていない部分はあるが、期待されている。指定重点技術分野の強化を図り、海外から専門人材を受け入れて開発拠点構築を進める。中でもアジア・シリコンバレー計画では人工知能(AI)関連政策が注目されている。行政の高い機動性を生かして、例えば各国でなかなか認可が下りない自動運転車の実証試験基地を作れないかというアイデアもあるようだ」

 --中国の動きが気になる

 「中国政府は2月末に、31項目の台湾優遇措置を発表した。中国へ進出する台湾企業や優秀な人材の受け入れなどについて、さまざまな便宜を図る内容だ」

 --企業や人材の中国呼び込み策に見える

 「人材の流動性が高い台湾では過去、大手半導体企業などで退職者などによる海外企業への営業秘密漏洩(ろうえい)事件が発生、対策として法制度整備を年々進めている。営業秘密法改正で刑事罰を追加し、労働基準法改正で企業と従業員が結ぶ競業避止規定の要件をはっきり定めた。3月には次の営業秘密法改正案に捜査協力者へ秘密保持義務を負わせる制度を加えることを発表したところだ」

 --台湾進出だけでなく、台湾企業と一緒に中国へ進出する日本企業も多い。営業秘密問題は重要だ

 「日本企業向けに“台湾での職務規定における知的財産についての取り扱いについて”という報告書(特許庁委託事業)を作成した。ぜひ活用してほしい」(知財情報&戦略システム 中岡浩)