【地球を掴め国土を守れ】技研製作所の51年(10)「防災企業たるは、高知のDNA」 (2/2ページ)

江戸時代初期に土佐藩家老の野中兼山が整備した手結港。日本最初の本格的な掘込港湾=高知県香南市
江戸時代初期に土佐藩家老の野中兼山が整備した手結港。日本最初の本格的な掘込港湾=高知県香南市【拡大】

 兼山の実践の根本は、人間は自然の秩序に従いながらも、自然の利害を人間的に調整することが人間社会の発展につながるとの考え-とされる。

 一方、北村は「文化を高めてこそ人間」と考える。そのためには、自然の振る舞いに対して、「安全安心」を確保しなければならない。ただし、「安全安心」を担保する技術は、自然(地球)と真摯に対話し、誰もが納得する科学的根拠をもつべきだ。また、実現(施工)にあたっては、人間の生活を邪魔しないように、日々練り上げられていくものであるべきだという。

 兼山の軌跡と通底する北村の実践と思想。北村はそれを「建設は日々新たなり」の言葉に込め、技研製作所の理念としている。

=敬称略

 首都直下、南海トラフの地震や多発する水害の危機が迫る中、独創的な工法が注目を集める「技研製作所」は創業50年を迎えた昨年、東証1部上場を果たした。この連載では、北村精男氏が一代で興した同社が、世界企業として発展してきた半世紀を追う。