【生かせ!知財ビジネス】BVD 企業・特許情報の統合ツールを推進

 米ムーディーズ傘下で国際的な企業情報会社であるオランダのビューロー・ヴァン・ダイク(BVD、アムステルダム)は、世界の企業情報と特許情報を統合した戦略ツール「オービス・インテレクチュアル・プロパティ」の日本での販売を本格化する。当面の目標は企業、官公庁、会計事務所など100クライアントの獲得。活動のキックオフとして都内で10日、東京大学の渡部俊也教授を講師に招き、企業の経営・事業戦略部門や知財関連部門向けに、経営と知財に関するセミナーを開く。

 同ツールはBVDの企業情報データベース「オービス」(Orbis)と各国特許庁などの特許情報をひも付けした新しいデータベースサービスだ。検索や分析の際に企業情報と特許情報がシームレスに展開できるのが特徴。販売、調達、提携、与信、企業買収、投資など、さまざまな事業戦略を立てる際の分析に特許情報の視点を取り込め、逆に知財戦略を検討する際には財務や資本関係などの企業情報を確認できる。両方の情報を合わせた複合分析も可能。オランダにある特許評価の専門会社IPBIのロジックによる特許価値金額も試算できる。

 日本法人の増田歩・シニアアカウントエグゼクティブは「世界的企業情報会社の中でもユニークなサービス。OECD(経済開発協力機構)の“STI(サイエンス、テクノロジー、イノベーション)Outlook”の研究部会で、特許情報と企業情報の一元化が必要とされたことで開発が始まった」とし、今後オービスの既取引先である企業の事業企画部門などからユーザーを拡大していく方針。利用料は1IDで年間500万円から。

 知財の専門家や企業担当者の間ではかねて、経営や事業戦略において特許情報の活用を唱えてきた経緯があり、同ツールの登場に期待の声も聞かれる。

 例えば、企業の出資関係情報や特許の移転情報を使えば、水面下でどの企業や企業グループがどの分野に特許を集中的に保有し、事業展開を企図しているかが類推できる。製品やサービスの市場規模や企業の売り上げからは、当該特許の売買価値を推計できる。

 草羽宏和・カントリーマネージャー(日本)は「いずれ経営企画部門、知財部門の双方に同ツールを使ってもらい、同じ目線での議論形成に貢献できるようになれば」と語る。(知財情報&戦略システム 中岡浩)