50万円つぎこんだ被害者も…絶対取れないクレーン型ゲーム機、裁判で浮かんだ手口とは (1/3ページ)

警察が応酬したクレーンゲーム機や景品
警察が応酬したクレーンゲーム機や景品【拡大】

 「もう少しで高額の景品を獲得できる」「これまでに失敗した分を取り戻したい」-。こんな客の心理を巧みについた悪質商法が繰り返されていた。大阪・ミナミのゲームセンターで、クレーン型ゲーム機を景品が取れないように設定し、客から代金をだまし取ったとして詐欺罪に問われたゲームセンター運営会社社長らに対する裁判が、大阪地裁で開かれた。公判で明らかになったのは、簡単に景品をゲットできるとウソの実演をし、その上でゲーム機の設定を変更。なのに次々とプレーするようあおって多額の代金をつぎ込ませる、ゲーセンの「蟻地獄」だった。

 「あとはお兄さんの気力です」

 判決によると、社長の男は従業員らと共謀。平成29年10~12月、大阪市中央区の店舗で、1回千円から5千円のクレーン型ゲーム機で簡単に高額商品を獲得できると思い込ませ、男性を含む客8人から計約123万円をだまし取った。

 このうち29年10月9日は、従業員がこんな言葉を投げかけ、男性客をあおっていたという。

 「練習通りにやったらできますよ。今やめるともったいないです。あとはお兄さんの気力です」

始める前から、仕掛けられていた罠