島根大医学部と出雲のソフト会社、動物実験に代わる教育用シミュレーターを共同開発

シミュレーターについて説明する島根大医学部の臼田春樹助教
シミュレーターについて説明する島根大医学部の臼田春樹助教【拡大】

 動物実験の代わりに端末上で薬理作用が確認できる教育用シミュレーションソフトを、島根大医学部(島根県出雲市)と同市のソフトウエア制作会社「イーグリッド」が共同開発した。動物実験に対する批判が世界的に広がる中、実験代替ツールとして海外を中心に需要があるとみており、同社が販売を始めた。

 医学系学生らが実習などで行う動物実験は、動物愛護と予算減の両面から実施が難しくなっているという。こうした現状を背景に、簡便で安価なシミュレーターを求めて両者がタッグを組み、平成27年に共同研究を開始。出雲市の医工連携支援を受けて製品化し、今年4月、商標出願にこぎつけた。

 このソフトでは、モルモットの心房▽ラットの血圧▽モルモットの腸管-の3パターンについて、3~6種類の薬剤の投与・添加を想定した模擬実験が可能。時間経過に伴う心拍数の変化や心筋・腸管の収縮などをグラフ化できる。

 同学部の場合、動物実験では30~40人で1台の装置を操作するのが現状で、薬剤投与の結果、死に至ればそこで実験が終了。これに対し、シミュレーターでの実験は1人ずつ任意の実験が可能となる。

 ソフトの年間使用料は、1ライセンス当たり約200ドル(5ユーザーが使用可能)。同社では初年度で300ライセンスの販売を目指す。