【生かせ!知財ビジネス】日本ライセンス協会 荻野誠新会長に聞く(下)

2018年度の日本ライセンス協会年次大会であいさつする荻野誠・新会長=6日、札幌市内
2018年度の日本ライセンス協会年次大会であいさつする荻野誠・新会長=6日、札幌市内【拡大】

 ■時代は“排他”から“つながり”へ

 日本ライセンス協会(LES Japan、東京都港区)の新会長に就任した東京理科大学の荻野誠教授に、ライセンス業務などの方向性を聞いた。

 --モノがネットにつながるIoTの世界が登場した

 「これまで事業とは主にモノを作り、売ることだった。知財が使われるのは基本的に排他権(他人の侵害を排除できる権利)の世界であり、知財担当は明細書を書いて特許出願し、たまに侵害者を訴えて事業を守る仕事をしてきた。だが時価総額で世界のトップ企業を並べるとものづくりというより、知財を上手にビジネスモデルに組み込んで稼いでいる企業が増えている」

 --知財の使い方が、大きく変わりつつあると

 「そうだ。ライセンスとは、知財の持つ排他権をわざわざ放棄して、他人に与えて使わせる、あるいは自分が使わせてもらうことであり、実はつながっていくという仕事だ。その本質は、知財を企業のためにどう生かすか。つまりビジネスモデルに結びついている。そのことが近年、IoTの登場でより鮮明になりつつある。ライセンスが前面に出てくる時代になってきた」

 --日本の強みはものづくりとよく言われる

 「確かにものを作って売っている部分もあるが、今やそれ以外の世界が広がってきた。(対象も)特許以外も含む広い意味でのライセンスの世界だ。例えばネット検索機能や携帯OS(基本ソフト)を開放しつつ(契約によって)別の部分でもうける手法がある。これは本来、私たちの仲間がバリバリと仕事をやってきた分野だ」

 --今後、知財部門はどう対応すればよいのか

 「あまり防衛的にならず、前に出る姿勢が必要になるだろう。例えば、オープンイノベーションがかねて提唱されてきているが、どこかと組んで場(ビジネスの仕組み)を作って、その場で勝負をしていくという部分の発想が、まだ出切っていない面があるように感じる。(知財部門が貢献するには)従来以上に、ビジネスをよく見ないといけない時代になってきたのではないか」

 --やはり、つながりが鍵になりそうだ

 「オープンな活動をするには、人がつながっていないとできない。われわれは、そのことに(以前から)気づいており、そのための土台を持つ人たちの集まりだ」(知財情報&戦略システム 中岡浩)