【生かせ!知財ビジネス】連携打診は評価の証し 大企業側優位の契約には要注意

 オープンイノベーション戦略の一環で、優れた特許・技術を持つベンチャー企業を大企業が投資で支援したり、買収したりする動きがあるが、大企業と中小企業間で知財をめぐる企業連携も活発化しつつある。特許庁は、啓蒙(けいもう)パンフレット「知財を使った企業連携4つのポイント」を作製。企業連携に取り組み始めた中小企業が、潜在する知財リスクによって不利益を被らないよう注意を呼びかけている。

 4つのポイントとは「秘密情報管理」「秘密保持契約(NDA)」「共同開発契約」「ライセンス契約」に関することだ。パンフレットでは、(1)社内で秘密レベルに応じた情報管理ができていない(2)NDAを交わさないまま自社の技術情報や取引情報を社外に話してしまう(3)共同開発契約に出願禁止条項を入れておらず、自社が開示した技術を相手企業が勝手に特許出願してしまう(4)特許ライセンス契約時に帳簿閲覧権や監査権の条項を入れておらず、ライセンス先の生産高が把握できず、対価が得られない-などの事例を分かりやすく解説している。

 パンフレットを企画した総務部総務課の高田龍弥氏は「これまで日本の技術力の根幹を支えてきたのは多分、中小企業の技術力。オープンイノベーションの時代、企業連携は大いにやってもらいたいが、中小企業には気をつけてほしい」と話す。

 企業連携の多くは大企業から中小企業へのアプローチで始まる。つまり、中小企業が保有する知財を、大企業が調査を行い、評価している証しである。大企業から声をかけられて舞い上がり、提示された大企業優位の契約書によく目を通さないままサインしてしまうパターンも少なくないという。

 「双方がウィンウィンになるならば理想的だが、(企業連携は)ビジネスであり、契約自由の原則もある。だからこそ中小企業には注意をしてほしい」と津幡貴生企画調査官は強調する。

 特許庁では、全国にある知財総合支援相談窓口の知財弁護士に大企業と交わす契約書のレビューをしてもらうことや、工業所有権情報研修館(INPIT)の営業秘密・知財戦略相談窓口(営業秘密110番)で助言を受けることを中小企業に勧めている。(知財情報&戦略システム 中岡浩)