水産庁、最新鋭衛星で赤潮発生予測 養殖漁業の被害軽減へ年内に研究開始 (2/2ページ)

 対象とする海域を当初、有明海と八代海とするのは、魚やノリの養殖漁業が盛んで、海面での赤潮観測体制が一定程度整っているため。有明海に面する長崎県の県総合水産試験場の担当者は「正確な予測があれば、対策が打ちやすくなる」と期待を寄せている。

 赤潮予測は現在、観測ブイなどで定期的にモニタリングしている海域などに限定される。従来の画像は、赤潮なのか海面が汚濁しているだけなのか判別が難しかった。

【用語解説】赤潮

 主に植物プランクトンが大量発生し、海水が赤褐色や茶褐色に色づく現象。海中の栄養や日照など、さまざまな要因が重なって起こる。プランクトンが出す物質が魚のえらの細胞を壊して呼吸困難にさせ、大量死を引き起こすとされる。2012年夏に愛媛県の宇和海沿岸で発生した赤潮では、養殖のタイやハマチなど計約178万匹が死に、被害額は12億3000万円に上った。昨年夏には長崎県の伊万里湾でトラフグやマグロなど計約68万5000匹が死に、6億1000万円の被害が出た。