フジクラ、1987年から検査不正 電線など73種、昨年把握も公表せず

記者会見するフジクラの伊藤雅彦社長=8月31日、東京・蛎殻町
記者会見するフジクラの伊藤雅彦社長=8月31日、東京・蛎殻町【拡大】

 フジクラは31日、送配電用の電線や通信用ケーブルなど73種類で検査数値を改竄(かいざん)するなどの品質不正があったと発表した。顧客と取り決めた検査を実施していなかった例もあり、少なくとも1987年から行われていたという。同社は、昨年12月に不正を把握していたにもかかわらず、これまで公表していなかった。

 不正は、本体4拠点と子会社6社の計10拠点で発覚。調査中の汎用(はんよう)品を除く供給先は66社に上るという。顧客の承認を経ずに製造方法を変更した例や、日本工業規格(JIS)規格に関する品質管理体制の変更手続きの不備も見つかった。

 安全性にかかわる問題は今のところ見つかっておらず、JIS認証も取り消されていないという。業績への影響は不明としている。同社は9月中旬をめどに顧客への説明を終えるほか、引き続き外部弁護士による調査を行い、年内に結果を公表する方針だ。

 東京都内で記者会見した伊藤雅彦社長は「お客さまをはじめ関係者のみなさまに多大なるご迷惑とご心配をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪。公表が遅れたことについては、守秘義務の存在などを理由に挙げる一方、「できるだけ早い公表をすべきだったと思う」と述べた。自身の経営責任については「まずは全容解明に向けて万全な調査を指揮するのが、トップの役割、責任と考えている」と述べるにとどめた。