月周期が生物成長に影響か トヨタ紡織、名大が共同研究

 自動車部品大手のトヨタ紡織と名古屋大は17日、月の満ち欠けによる生き物への影響を解明する共同研究を始めたと発表した。月の周期で変わる地球上の重力に合わせ、光や食事を与えるタイミングを調整し、植物の成長を早めたり、動物を肥満になりにくくしたりできる可能性がある。

 着目するのは潮の満ち引きを起こす「起潮力」だ。地球の遠心力と、月や太陽の引力で発生する。天体の位置関係で起潮力は変わり、地上の重力に影響する。周期は月の満ち欠けで分かる。

起潮力の変化に合わせて照明を調節して育てたレタス(右)と通常栽培のレタス(トヨタ紡織提供)

起潮力の変化に合わせて照明を調節して育てたレタス(右)と通常栽培のレタス(トヨタ紡織提供)

 トヨタ紡織によると、起潮力の変化に合わせて室内の照明を落とすと、レタスの収穫量が通常と比べ最大24%増えた。光合成など細胞レベルの化学反応が関係していると考えられるという。車のドア材料に使う植物の研究で、起潮力が生育に影響していると気づき、名古屋大に共同研究を持ちかけた。「満月の日に出産が多い」など科学的に証明されていない説も解き明かしたい考えだ。

 トヨタ紡織の鬼頭修専務理事は名古屋市で開いた記者会見で「研究成果を食料生産や健康の促進に生かし、広く社会に貢献したい」と話した。名古屋大トランスフォーマティブ生命分子研究所の伊丹健一郎拠点長は「わくわくするテーマだ。20~30年後に向けて結実させたい」と述べた。